私たち現代に生きている人類を「ホモサピエンス」と言います。
ところでほとんどの皆さんは「人類」は、アウストラロピテクスを始祖とする「猿人」、ジャワ原人・北京原人などに代表される「原人」、ネアンデルタール人が有名な「旧人」、クロマニョン人などの「新人」……と、徐々に進化して今に至るものと思っておられるのではないでしょうか?
人間の進化の秘密
しかし実は、上記の順番に進化してきたわけではなく、ある時「ホモサピエンス」という突然変異種が登場したのちに、それ以外の人類は絶滅してしまった……という説が近年有力になっています。
なぜ、他の人類が滅んでしまった中、ホモサピエンスだけが生き残り、地上の支配者として君臨するまでになったのか?
それは「実際には見えていない世界をイメージする力を手に入れたから」だと言われています。
「イメージ」の力
例えば、ネアンデルタール人の集落の遺跡には、死者を弔った痕跡があると言われます。人の死を悼み悲しむという情緒的なものは既に現代人に近いものになっていたと言えますね。
ただ、ラスコーやアルタミラ洞窟などに残されている彼らの描いた壁画は、優れた芸術であることは確かですが、実際に存在する牛や馬、山羊などの動物が描かれているに留まります。
それに対して、ホモサピエンスの遺跡からは、「翼の生えたライオン」や「ライオンの頭をした人間」などの像が出土するのです。
つまり、それまでの人類が「実際に目に見えているものを記録する」だけだったものがホモサピエンスになってから「現実には存在しないものを想像して想像する」ことが出来るようになったということなのですね。
「未来」を考える能力
旧人、新人までは、感情や芸術性こそ現代人に近いものでしたが、時間の感覚は基本的に動物と同じでした。例えば、犬や猫は目の前にあるエサを喜んで食べることはしますが「明日もエサが貰えるだろうか?」などという心配はしませんし「貰えるはず」という思い込みもしませんね。その時代の人類も「その場の状況」と「その時の本能」に従って生きていたと思われます。
それに対してホモサピエンスになると、目に見えないモノを想像するようになった……それはやがて「未来」を考える能力になっていったわけです。
これこそが、人類が「占い」という技法を手にする第一歩となったのです。