二十四節気 第10節 「夏至」陽熱至極しまた、日の長きのいたりなるを以て也

10、夏至

夏至とは、二十四節気の第10番目で6月節、冬至とは反対に、一年の中で昼がもっとも長く、夜が短い、そして、昼の太陽の高さも、もっとも高いところまで昇る日のことです。
しかし、昼の長さが一番長いとはいえ、日の出時刻が一番早く、日の入り時刻も一番遅くなるという
わけではありません。
日の出がもっともも早くなるのは、夏至の一週間ほど前で、日の入りがもっとも遅くなるのは夏至の一週間ほど後となっています。
夏至はあくまでも、昼間の長さが最も長い日のことなのです。
これは、地球が太陽のまわりを回る面(公転面)に対して自転の軸が傾いていることや、太陽のまわりを回る軌道(公転軌道)が真円形でないことなどが理由です。

「夏に至る」と言うようにと書くように夏至を境に、本格的な夏がいよいよ到来して、厚さは日に日にましていきます。
昼の時間が長いのは、北半球に限ったこと、南半球では逆に、もっとも昼の時間が短い日となります。
夏至は、一年で最も昼が長く夜が短い日 であるとともに、期間としての意味もあり、6月21日から7月6日頃の約2週間を指します。北に向かうほど、昼が長くなり、北極に近い北欧などでは「白夜」で、
1日中太陽が沈まない状態になります、1年を通じて日照時間の短い北欧においては、
昼間の最も長い夏至は、とても大切な日で、フィンランドなど、様々な国々で夏至祭が催されます。

昼が長いとは言え、日本ではこの期間、梅雨の真っ只中で、一昔前までは、田植えの時期は、梅雨のこの時期に行われるもので、農繁期で忙しい時期でもありました、田植えは「夏至のころ、半夏生まで」といわれ、ひと息に行うものだったそうです。

夏越の祓

1年を過ごしている間についた、穢れや災難を祓い清めることを「大祓」といいます。大祓は6月と12月の年2回行われますが、夏に行われるものを「夏越の祓」といいます。
夏越の祓とは、1年の半分にあたる6月30日に、半年の間に身に溜まった穢れを落とし、残り半年の息災を祈願するという神事です。各地の神社には人の背たけよりも大きな茅の輪が据えられて参拝者はこの茅の輪をくぐって厄除けを行います。
これは旅の途中に宿を求めた素戔嗚尊を、貧しいながらも蘇民将来が厚くもてなし、その後素戔嗚尊の言った通り、茅の輪を腰につけていて疫病を免れたという故事に由来しています。また、茅の輪をくぐった後には、紙でできた人形に穢れを移して川などに流し、災厄を払う風習もあります。

京都では「夏越の祓」の頃に、「水無月」という菓子を食べ禊をする習慣がありました。
暑気払いを兼ね、氷に見立てた白い外郎の生地や、餅を三角に切り分け、炊いた小豆を乗せた菓子を食べます。半年の禊をして、新たな半年に備え、邪気払いを行うのです

山開き、海開き

7月1日には「山開き」が行われる山が全国各地にありますが、この場合の「山開き」というのは、霊山などの入山を解禁することです。登山口で山の神様に開山を伝えて、事故が起きないように祈願する神事が執り行われます。
古来は、神仏を祀(まつ)る山に入ることができるのは、修験者などの一部の人だけでした。
それが江戸時代になると、夏の一定期間、庶民の入山も許されるようになりました。それ以来、入山が許される日の儀式などを「山開き」と呼ぶようになり、受け継がれています。
一方で、山開きにならい、海水浴の解禁日を「海開き」というようになりました。各地の海水浴場が、7月1日などを海開きの日としています。

二見興玉神社 夏至祭

太陽のエネルギーが最も溢れる夏至の日の出と共に禊をする祭典で夫婦岩の前で行います。
古くから二見浦一帯は、伊勢参宮を控えた人々が心身を清め、罪穢れを祓うべく、
禊祓をされた場所でした。午前3時30分より夏至祭が斎行され、続いて日の出の時刻(午前4時40分頃)に合わせて禊行事が行われます。夏至の前後1か月だけ、夫婦岩の間から朝日が昇ります。

七十二候

初候 乃東枯 なつかれくさかるる 6月21日〜6月25日頃

冬至の頃に芽を出した
「靫草(うつぼぐさ)」が枯れていく頃です。
色鮮やかな夏の花が開花するという時期に
枯れていく花に思いを寄せた、
古人の優しさを感じる言葉です

次候 菖蒲華 あやめはなさく 6月26日〜6月30日頃  

「あやめ」が花を咲かせる頃です。
「あやめ」が咲くと、
梅雨が到来する合図と言われていました。
アヤメ、ハナショウブ、カキツバタは
よく似ており、非常に見分けがつきにくいです。

末候 半夏生 はんげしょうず 7月1日〜7月6日頃

「半夏(からすびじゃく)」が生える頃です、半夏生の名をもつ草の葉が白く染まる頃、
農事の節目ともされており、
田植えを終わらせる頃でもあります

        投稿者 泰成明