二十四節気 第6節「穀雨」春雨降りて百穀を生化すればなり

6 穀雨

二十四節気の第6番目にあたり、清明ののち15日目で、定気法で言う、太陽の黄経が20度に達した時のことで、新暦では4月21日頃にあたります。
穀雨とは、地上にあるたくさんの穀物に、たっぷりと水分と栄養がため込まれて、元気に育つように、天からの贈り物でもある恵みの雨が、しっとりと降り注いでいる頃のことをいいます、百穀を潤して、芽を出させる雨ということです、北国ではストーブをしまい、東日本では冬服を脱ぎ、西日本では藤の花の咲き始める季節です。
「暦便覧」には、春雨降りて百穀を生化すればなり、と記されています。つい最近まで、鮮やかに街を彩っていた花々は、雨と共に散り、日ごとに草花も野菜も、青々とした葉を伸ばしはじめます。日によっては、春のコートもいらないくらい暑い日もあり、初夏の訪れを感じられます

穀雨の時期の、春の恵みの雨には、甘雨(かんう)春霖(しゅんりん)木の芽雨(このめあめ)瑞雨(ずいう)などの別名もあります。
甘雨はやさしく降るような雨を、春霖は長く降る雨を指し、木の芽雨と瑞雨は木の芽や穀物の成長を助ける・育てるという意味が込められています

八十八夜

穀雨が終わるころには「八十八夜」が訪れます(5月1日)。「八十八夜」とは、「立春」から数えて88日目にあたる日のことで、この日から3日後には「立夏」をむかえることもあり、昔から夏の準備をする日とされていました。
夏も近づく八十八夜…で始まる唱歌にもあるように、この頃は茶摘みが最盛期を迎えます。
八十八は末広がりの字が重なります、これらのことから縁起が良いとされていて、茶葉の産地では  八十八夜に茶葉の初摘みが行われます、この日に採れた茶葉を使った、一番茶を飲むと、無病息災で過ごせると言い伝えられてきました。

また、農家にとっては「八十八夜の別れ霜」というような言葉もあります、
この日を過ぎると、農作物への霜害の心配がなくなるので、本格的に農業を始めることができます。
そして、八十八の字を重ねると「米」という字になるため、この日に農作業をはじめるのがよいとされていました。

百花の王「牡丹」

穀雨の時期に咲く代表的な花には、牡丹(ぼたん)があります。二十四節気を初候・次候・末候と、さらに細かく分けた「七十二候」という暦があります、
その七十二候の穀雨末候が「牡丹華(ぼたんはなさく)」となっていることからも、この時期の花であることがわかります
牡丹は花弁が何枚も重なった大ぶりな花を咲かせる落葉低木です。見た目が美しく華やかなため、中国では『百花の王』と呼ばれています。
日本でも美しい女性の例えとして使われてきました。
清少納言の随筆「枕草子」によると、平安時代の遣隋使が牡丹を薬用として、中国から持ちかえり日本に伝わったされています。                       

投稿者 #泰成明