17、寒露
寒露とは、二十四節気の第17番目で九月節、定気法では太陽黄経が195度のときで
10月8日ごろのことです。
「天高く馬肥ゆる秋」という言葉で表されるように、長い雨の季節が終わり、夜も長くなり、
朝晩の冷え込みがきつくなってきますが、空気も澄み渡り、秋晴れの晴天が続き過ごしやすい日々が
続きます、夜空には美しくきれいに輝く月が見られる季節です。
ちなみに、この「天高く馬肥ゆる秋」には、もともとは、中国で、秋になると馬が十分に育って騎馬民族が攻めてくるから要注意、という意味がありました。
露が冷気によって凍りそうになるころで、雁などの冬鳥が渡ってきて、菊が咲き始め、こおろぎが鳴き始めるころです暦便覧では、「陰寒の気に合つて露結び凝らんとすれば也」と説明しています。
神嘗祭 (かんなめさい)
寒露の頃、10月15日から17日に、伊勢神宮にて、「神嘗祭(かんなめさい)」が行われます。天皇がその年に収穫した新穀を天照大御神に捧げ、御恵みに感謝するお祭りです。「神嘗祭」はその年に収穫した新穀(しんこく)を天照大御神に捧げ、御恵みに感謝するお祭りです。天皇陛下は神宮に遥拝され、日本各地の神社でも神嘗祭遥拝式が斎行されます。
「神嘗祭」は、3日間かけてさまざまな儀式が行われます。その中でも重要な儀式は外宮と内宮で朝夕の2回行われる、由貴大御饌(ゆきのおおみけ)の儀です。大御饌とはである、それぞれの神様にお食事を捧げ、お召し上がりいただくという儀式です、また由貴大御饌と奉幣を中心として、興玉神祭、御卜、御神楽などの諸祭も行われます。そして、同時期、この儀式に合わせ、皇居内の神殿で天皇陛下は神宮を遥拝して、収穫の感謝を述べられ、国家隆昌、皇室繁栄、国民安寧などをお祈りされます。また「神嘗祭」には天皇陛下自らが御田で自らお育てになられた稲穂が捧げられ、ともに日本の各地から奉納された懸税と呼ばれる稲穂も奉納されます。
十三夜
9月には、中秋の名月、十五夜でお月見を楽しむ風習がありましたが、よく耳にする十五夜のほかに、この寒露の時期には「十三夜」も存在します。
十五夜とは、もともとは、中国から伝わった風習で、満月の夜に月の神様に豊作をお願いする行事です。一方の十三夜は、収穫も終わりを迎える時期から、秋の収穫に感謝をする風習です。
また、十三夜の月は、十五夜の月の次に美しいともいわれています。そのため、後の月とも呼ばれることもあります。また、十三夜にはほかに「豆名月」、「栗名月」といったこの時期の旬の収穫物から別の言い方があります。
七十二候
初候 10月8日〜10月12日頃 鴻雁来 こうがんきたる
鴻雁とは、渡り鳥の「がん」のことです、
ツバメと入れ違いに、雁はが、北から渡って
くる頃です。雁は日本で冬を過ごしたあと、春、暖かくなってくるとシベリア方面へと
帰って行きます、4月の清明の七十二候である「鴻雁北 (こうがんかえる)」とは、対になっています。毎年、この時期はじめに訪れる雁を「初雁(はつかり)」と呼び、秋の季語でもあります。
次候 10月13日〜10月17日頃 菊花開 きくのはなひらく
菊の花が咲く頃で、旧暦では9月9日の重陽の節句の時期にあたります。重陽の節句は別名、菊の節句とも呼ばれます、菊には不老長寿の薬効があるとされ、菊の花をお酒に浮かべた菊花酒を飲んで、長寿を祈ります。菊の花言葉には、高貴や高尚といった意味があり、気品に溢れた菊の花は、桜とともに日本の国花です。
末候 10月18日〜10月22日頃 蟋蟀在戸 きりぎりすとにあり
蟋蟀(キリギリス)が戸口のあたりで鳴く頃です。中国の最古の詩集、詩経の「七月在野 八月在宇 九月在戸 十月蟋蟀 入我牀下」という一節に由来しています。この詩によると、7月には野原にいた蟋蟀(こおろぎ)が、8月には家の軒下、9月には家の戸口、10月には床の中にまでやって来るという、夏から秋にかけての季節の移ろいを表しています。古来は蟋蟀(こおろぎ)のことを蟋蟀(キリギリス)と呼んでいたため、蟋蟀はコオロギのことだとも、秋に鳴く虫の総称だとも言われています。